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賞与支給の業務手順

提供: アドミンペディア

このページは、会社が従業員に賞与(ボーナス)を支給するときの業務を、支給額の決定から保険料・税金の納付まで時系列でまとめた手順書である。制度の説明は賞与支払届と賞与の源泉徴収のページを参照。

※令和8年(2026年)12月に支給する賞与を前提に記載している。保険料率は毎年度変わるため、実務では日本年金機構・協会けんぽ・厚生労働省の最新資料で確認すること。

要点

  • 賞与からは、社会保険料(健康保険・厚生年金保険)・雇用保険料・源泉所得税の3つを差し引く。
  • 支給後は、5日以内に賞与支払届、翌月10日までに源泉所得税の納付、翌月末までに社会保険料の納付が必要になる。
  • 賞与50万円(協会けんぽ東京都・40歳未満)なら、会社の負担は保険料だけで約7.5万円(計算例)。

全体の流れ

ステップ 時期の目安 主な作業 担当
1. 支給額の決定 支給日の1か月前まで 支給額・支給日・対象者を決め、賞与支払予定月を確認する 経営者・人事
2. 社会保険料 支給日の1〜2週間前 標準賞与額を求め、健康保険・介護保険・子ども・子育て支援金・厚生年金保険の本人負担分を計算する 給与担当
3. 雇用保険料 同上 賞与額に労働者負担の料率を掛ける 給与担当
4. 源泉所得税 同上 前月の給与と扶養親族等の数から算出率を求めて計算する 給与担当
5. 支給 支給日 振込、賞与明細の交付 経理・給与担当
6. 賞与支払届 支給日から5日以内 日本年金機構へ提出 給与担当
7. 納付 翌月10日・翌月末 源泉所得税の納付、社会保険料の納付 経理

STEP 1 支給額と支給日を決める

  • 就業規則(賃金規程)で賞与の支給をどう定めているかを確認したうえで、支給額・支給日・対象者を決める。
  • 日本年金機構に登録している賞与支払予定月を確認する。予定月の前月に、従業員の氏名などを印字した賞与支払届の用紙が届く。
  • 支給日を予定月以外にする場合や、支給しないことにした場合の手続きも確認しておく(支給しない場合は「賞与不支給報告書」が必要)。

STEP 2 社会保険料を計算する

  1. 標準賞与額を求める:賞与(税引き前の総支給額)から1,000円未満を切り捨てる。
  2. 上限を確認する:厚生年金保険は1か月150万円、健康保険は年度(4月〜翌年3月)の累計573万円が上限。
  3. 本人負担分を計算する:標準賞与額に各料率を掛け、半分を本人負担とする。
保険 料率(令和8年度・協会けんぽ東京都の例) 対象
健康保険 9.85% 全員
介護保険 1.62% 40歳から64歳までの人
子ども・子育て支援金 0.23% 全員(令和8年4月分の保険料から)
厚生年金保険 18.3% 70歳未満の被保険者
  • 本人負担分の1円未満の端数は、賞与から差し引く場合、50銭以下は切り捨て、50銭を超える場合は切り上げる(会社と従業員の間で特約がある場合は特約による)。
  • 子ども・子育て支援金は、健康保険料と合わせた料率で計算してから折半し、端数処理も合わせて行う。

チェックリスト

  • ☐ 標準賞与額は1,000円未満を切り捨てている
  • ☐ 40歳から64歳までの人に介護保険料を加えている(年齢は支給月の時点で確認)
  • ☐ 子ども・子育て支援金を加えている
  • ☐ 70歳以上の人から厚生年金保険料を差し引いていない
  • ☐ 退職月に支給する人、育児休業等で保険料が免除されている人から、保険料を差し引いていない
  • ☐ 健康保険の年度累計が573万円を超える人がいないか確認した

STEP 3 雇用保険料を計算する

雇用保険料は、賞与を含む賃金全体にかかる。賞与から差し引く本人負担分は、賞与額 × 労働者負担の料率で計算する。社会保険料と違い、1,000円未満を切り捨てる「標準賞与額」の仕組みはない。

事業の種類 労働者負担 事業主負担 合計
一般の事業 5/1,000 8.5/1,000 13.5/1,000
農林水産・清酒製造の事業 6/1,000 9.5/1,000 15.5/1,000
建設の事業 6/1,000 10.5/1,000 16.5/1,000

(令和8年4月1日〜令和9年3月31日)

雇用保険料は賞与支払届では届け出ず、毎年6月1日から7月10日までの労働保険の年度更新で、1年分の賃金総額にもとづいて精算する。

STEP 4 源泉所得税を計算する

  1. 前月の給与から社会保険料等を差し引いた金額を求める。
  2. 「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」で、扶養親族等の数と1.の金額から率を求める。
  3. (賞与 − STEP 2・3の社会保険料等)× 率 = 源泉徴収税額(1円未満切り捨て)

前月に給与がない場合や、賞与が前月の給与の10倍を超える場合は計算方法が異なる。詳しくは賞与の源泉徴収を参照。

令和8年中に支払う賞与は、令和8年分の算出率の表を使う(改正後の表は令和9年1月1日以後に支払う給与から)。

STEP 5 支給する

  • 賞与明細には、総支給額、差し引いた各保険料と源泉所得税、差引支給額を記載する。
  • 雇用保険料を賃金から差し引いた場合、事業主は控除額を本人に知らせなければならない(労働保険料控除に関する計算書の作成)。
  • 子ども・子育て支援金を明細で健康保険料と分けて表示することは法令上の義務ではないが、国は内訳を記載する取組への協力を呼びかけている。

STEP 6 賞与支払届を提出する

  • 支給日から5日以内に、「健康保険・厚生年金保険 被保険者賞与支払届」を日本年金機構の事務センターまたは管轄の年金事務所へ提出する(電子申請・電子媒体・郵送・窓口)。
  • 70歳以上の人に支給した場合も、同じ様式で「70歳以上被用者賞与支払届」として届け出る。
  • 退職月の賞与、育児休業等で保険料が免除されている人の賞与も、届出は必要である。
  • 健康保険組合に加入している場合は、健康保険分の届出方法を組合に確認する。

詳しくは賞与支払届を参照。

STEP 7 納付する

対象 納付期限 方法
源泉所得税 支給した月の翌月10日(納期の特例の場合は、7月〜12月分を翌年1月20日) 所得税徴収高計算書(納付書)で納付、またはe-Taxなど
健康保険料・厚生年金保険料(子ども・子育て支援金を含む) 支給した月の翌月末日 毎月の保険料と合算した納入告知書で納付(口座振替の場合は月末に引き落とし)
雇用保険料 毎年の年度更新(6月1日〜7月10日) 労働保険の年度更新で精算

計算例:賞与50万円の場合

前提:協会けんぽ・東京都、40歳未満(介護保険なし)、一般の事業、賞与500,000円、令和8年12月支給

項目 計算 本人負担 会社負担
健康保険+子ども・子育て支援金 500,000円 ×(9.85%+0.23%)÷ 2 25,200円 25,200円
厚生年金保険 500,000円 × 18.3% ÷ 2 45,750円 45,750円
雇用保険 本人 500,000円 × 5/1,000、会社 500,000円 × 8.5/1,000 2,500円 4,250円
保険料の合計 73,450円 75,200円

本人の手取り(源泉所得税の率を仮に4.084%とした場合)

  • 社会保険料等を差し引いた賞与:500,000円 − 73,450円 = 426,550円
  • 源泉所得税:426,550円 × 4.084% = 17,420円(1円未満切り捨て)
  • 差引支給額:500,000円 − 73,450円 − 17,420円 = 409,130円

源泉所得税の率は、前月の給与と扶養親族等の数によって変わる。会社の負担には、このほか事業主だけが負担する保険料(労災保険料など)がある。

よくあるつまずき

  • 40歳になった人の介護保険料の漏れ:40歳から64歳までの人は介護保険料の対象になる。前回の賞与のあとに40歳になった人がいないか、賞与計算のたびに年齢を確認する。
  • 退職した人への賞与:退職月(資格喪失月)に支給した賞与には社会保険料がかからないが、賞与支払届は必要である。
  • 前月に給与がない人:入社直後の人や休職明けの人は、源泉所得税の計算方法が変わる。
  • 支給しなかった月の届出漏れ:賞与支払予定月に誰にも支給しなかった場合は「賞与不支給報告書」を出す。出さないと、日本年金機構から催告状が届く。
  • 同じ月に2回支給:同じ月の賞与は合算して1回分として届け出る。厚生年金保険の上限150万円も合算額で判定する。

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