償却資産(固定資産税)
表示
償却資産(しょうきゃくしさん)とは、固定資産税の対象となる資産のうち、土地・家屋以外で事業に使う資産のことである。パソコン・複合機・応接セットなどの備品、機械や設備、看板、賃借した事務所に施工した内装などが含まれる。会社や個人事業主は、毎年1月1日時点で持っている償却資産を、1月31日までに資産のある市区町村に申告し、固定資産税(償却資産)を納める。一般に「償却資産税」とも呼ばれる。
要点
- 土地や建物を持っていなくても、事業に使うパソコンや備品、内装などには固定資産税がかかる。
- 毎年1月1日時点の資産を、1月31日までに資産のある市区町村(東京23区は都税事務所)に申告する。
- 税額は「課税標準額 × 1.4%」。課税標準額が150万円未満なら課税されない(免税点)。
- 例:パソコン・複合機・内装・応接セットを持つ会社で、課税標準額約357万円 → 年税額49,900円(計算例)。
法的根拠
| 法令 | 主な内容 |
|---|---|
| 地方税法 第341条第4号 | 償却資産の定義(無形減価償却資産、少額資産、自動車税・軽自動車税の対象を除く) |
| 地方税法施行令 第49条 | 対象外となる少額資産(法人税法・所得税法で取得価額の全部または一部を一括して経費にしたもの、20万円未満のリース資産) |
| 地方税法 第343条第10項 | 家屋の所有者以外の人が取り付けた附帯設備(内装など)の扱い |
| 地方税法 第350条 | 標準税率 1.4% |
| 地方税法 第351条 | 免税点(償却資産は課税標準額150万円) |
| 地方税法 第383条 | 1月1日現在の償却資産を1月31日までに所在地の市町村長へ申告 |
| 地方税法 第386条 | 正当な理由なく申告しなかった場合の過料 |
対象となる資産
| 種類 | 例 |
|---|---|
| 構築物 | 舗装路面、門・塀・外構工事、広告塔、内装・内部造作、受変電設備 |
| 機械及び装置 | 製造設備、機械式駐車設備 |
| 車両及び運搬具 | 大型特殊自動車など(自動車税・軽自動車税の対象になるものを除く) |
| 工具、器具及び備品 | パソコン、複合機、応接セット、ルームエアコン、陳列ケース、看板、レジスター、自動販売機 |
| 船舶・航空機 | ボート、漁船、飛行機など |
次のような資産も申告の対象になる。
- 減価償却が終わっている資産(帳簿価額が1円などになっているもの)
- 帳簿に載せていない資産、使わずに置いてある資産
- 中小企業者等の少額減価償却資産の特例(租税特別措置法)で、取得した年に全額を経費にした資産(少額の減価償却資産と償却資産申告を参照)
対象にならない資産
- 土地・家屋(別に固定資産税がかかる)
- 自動車税・軽自動車税の対象になる自動車、軽自動車、小型特殊自動車など
- 無形固定資産(ソフトウェア、特許権など)、繰延資産(創立費・開業費など)
- 取得価額10万円未満などで、取得した年に全額を経費にした資産
- 取得価額20万円未満で、一括償却資産として3年で均等に償却している資産
- 取得価額20万円未満のリース資産
賃借した事務所の内装
賃借している建物に、借りた人(テナント)が自分の事業のために取り付けた内装・造作や設備は、建物の一部になっていても、取り付けた人の償却資産として扱うことができる(地方税法第343条第10項)。東京23区ではこの扱いをしており、内装を施工したテナントが償却資産として申告する。扱いは市区町村の条例によるため、事務所のある市区町村の案内で確認する。
リース資産
| リースの種類 | 申告する人 |
|---|---|
| 所有権移転外リース | 貸主(リース会社) |
| 所有権移転リース | 原則として借主 |
申告の期限・申告先・方法
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基準日(賦課期日) | 毎年1月1日 |
| 期限 | 1月31日(土日祝日にあたる場合は翌開庁日) |
| 申告先 | 資産がある市区町村。東京23区は、資産がある区を担当する都税事務所。複数の市区町村に資産がある場合は、それぞれに申告する |
| 方法 | eLTAX(電子申告)、郵送、窓口 |
- 前の年から資産の増減がなくても、申告書の提出が必要である(東京都の場合。「該当資産なし」の場合も申告する)。
- 申告の方式には、前年中に増えた資産・減った資産だけを申告し、評価額は市区町村が計算する「一般方式」と、会社がすべての資産の評価額を計算して申告する「電算処理方式」がある。
税額の計算
- 資産ごとに評価額を計算する(取得価額と耐用年数から計算。下記)。
- 同じ市区町村にある資産の評価額を合計し、1,000円未満を切り捨てて課税標準額とする。
- 課税標準額が150万円未満なら課税されない(免税点)。
- 150万円以上なら、課税標準額 × 1.4%(標準税率)が年税額となる(100円未満切り捨て)。
評価額の計算
| 取得の時期 | 評価額の計算 |
|---|---|
| 前年中に取得した資産 | 取得価額 ×(1 − 減価率 ÷ 2) |
| 前年より前に取得した資産 | 前年度の評価額 ×(1 − 減価率) |
- 取得した年は半年分だけ価値が減ったものとして計算する。1月1日に取得した資産は、前年12月に取得したものとして扱う。
- 計算した評価額が取得価額の5%を下回る場合は、取得価額の5%を評価額とする。減価償却が終わっても評価額はゼロにならない。
- 減価率は耐用年数ごとに決まっている。
| 耐用年数 | 減価率 | 前年中取得の残存率(1 − 減価率 ÷ 2) | 前年前取得の残存率(1 − 減価率) |
|---|---|---|---|
| 4年 | 0.438 | 0.781 | 0.562 |
| 5年 | 0.369 | 0.815 | 0.631 |
| 6年 | 0.319 | 0.840 | 0.681 |
| 8年 | 0.250 | 0.875 | 0.750 |
| 10年 | 0.206 | 0.897 | 0.794 |
| 15年 | 0.142 | 0.929 | 0.858 |
納付
- 市区町村から納税通知書が届き、年4回に分けて納める(東京23区は原則として6月・9月・12月・翌年2月)。一括で納めることもできる。
- 課税標準額が免税点(150万円)未満の場合は、納税通知書は届かない。
申告しなかった場合
- 正当な理由なく申告しなかった場合は、過料が科されることがある(地方税法第386条)。
- 申告漏れが見つかった場合は、さかのぼって課税される(原則として最大5年度分)。
よくある誤解
- 「土地や建物を持っていないから、固定資産税は関係ない」
- パソコン・備品・内装など、事業に使う資産があれば償却資産の申告が必要である。
- 「減価償却が終わった資産は申告しなくてよい」
- 減価償却が終わっていても、事業に使っている資産は申告の対象である。評価額は取得価額の5%までしか下がらない。
- 「税金がかからない(免税点未満)なら申告はいらない」
- 免税点は課税されるかどうかの基準で、申告の義務とは別である。東京23区では、資産がない場合も含めて申告書の提出を求めている。
- 「経費にした少額の資産はすべて対象外」
- 中小企業者等の特例で一括して経費にした資産は、償却資産の申告の対象になる(少額の減価償却資産と償却資産申告を参照)。
関連用語
償却資産申告の業務、ネコテガシBPOに任せませんか?
固定資産台帳の整理から、増加・減少資産の洗い出し、評価額の計算、申告書の作成とeLTAXでの申告まで、償却資産の申告をまとめて任せることができます。
▶ ネコテガシBPO について詳しく見る
出典
- 東京都主税局「償却資産」
- 東京都主税局「令和8年度 償却資産申告の手引き」(PDF)
- 「地方税法」(第341条・第343条・第350条・第351条・第383条・第386条)、「地方税法施行令」(第49条)(e-Gov法令検索)