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償却資産申告の業務手順

提供: アドミンペディア

このページは、会社が毎年1月に行う償却資産(固定資産税)の申告を、12月の準備から納付まで時系列でまとめた手順書である。制度の説明は償却資産(固定資産税)と少額の減価償却資産と償却資産申告のページを参照。

※令和9年度の申告(令和9年1月1日時点の資産を令和9年1月に申告するもの)を前提に記載している。税率・申告方法の細部は市区町村によって異なる場合があるため、資産がある市区町村の手引きで確認すること。

要点

  • 1月1日時点で事業に使っている資産を、1月31日までに資産のある市区町村(東京23区は都税事務所)に申告する。
  • 1年間に増えた資産・減った資産を固定資産台帳から洗い出すのが作業の中心。特例で経費にした少額の資産の拾い漏れに注意する。
  • 例の会社(パソコン・複合機・内装・応接セット)の年税額は49,900円(計算例)。

全体の流れ

ステップ 時期の目安 主な作業 担当
1. 台帳の整理 12月 固定資産台帳と実物を照らし合わせる 経理
2. 増減の洗い出し 12月〜1月上旬 前年中に取得・除却・売却した資産を拾う 経理
3. 評価額 1月上旬 一般方式か電算処理方式かを決め、評価額と税額の見込みを計算する 経理
4. 申告書の作成 1月中旬 償却資産申告書と種類別明細書を作る 経理
5. 申告 1月31日まで eLTAX・郵送・窓口で申告 経理
6. 納付 6月〜翌年2月 納税通知書にもとづき年4回(または一括)で納付 経理

STEP 1 固定資産台帳を整理する

  • 会計ソフトの固定資産台帳を出力し、実際に社内にある資産と照らし合わせる。
  • 減価償却が終わった資産(帳簿価額1円など)も、事業に使っていれば申告の対象なので、台帳から消さずに残す。
  • 中小企業者等の少額減価償却資産の特例で全額を経費にした資産は、固定資産台帳に載っていないことがある。経費の明細や法人税申告書の別表16(7)から拾う。
  • 事務所を賃借している場合は、自社で施工した内装工事や設備がないか確認する。

STEP 2 増えた資産と減った資産を洗い出す

区分 対象 確認する資料
増えた資産 前年1月2日から1月1日までに取得し、事業に使い始めた資産 固定資産台帳、経費の明細、請求書
減った資産 前年中に廃棄・売却・移動した資産 除却の記録、売却の契約書

申告の対象から除く資産は次のとおり(詳しくは少額の減価償却資産と償却資産申告を参照)。

  • 10万円未満で全額を経費にした資産、20万円未満で一括償却資産として処理した資産
  • 自動車税・軽自動車税の対象になる自動車など
  • ソフトウェアなどの無形固定資産
  • 20万円未満のリース資産、所有権移転外リースの資産(リース会社が申告する)

STEP 3 申告の方式を決めて評価額を確認する

方式 申告する内容 評価額の計算
一般方式 前年中に増えた資産と減った資産 市区町村が計算する
電算処理方式 1月1日時点のすべての資産 会社が計算する

どちらの方式でも、税額の見込みを把握しておくと予算に組み込みやすい。評価額は次のように計算する。

  • 前年中に取得した資産:取得価額 ×(1 − 減価率 ÷ 2)
  • それより前に取得した資産:前年度の評価額 ×(1 − 減価率)
  • 評価額は取得価額の5%を下回らない。

STEP 4 申告書を作る

  • 償却資産申告書(第26号様式):会社の情報、資産の種類ごとの取得価額の合計などを記載する。
  • 種類別明細書:増えた資産(または全資産)用と、減った資産用がある。資産ごとに名称・数量・取得年月・取得価額・耐用年数を記載する。
  • 資産の増減がない場合や、対象となる資産がない場合も、申告書を提出する(東京23区では「該当資産なし」の場合も申告を求めている)。
  • 複数の市区町村に資産がある場合は、市区町村ごとに作る。

STEP 5 申告する

  • 期限は1月31日(土日祝日にあたる場合は翌開庁日)。
  • 方法は、eLTAX(電子申告)、郵送、窓口。窓口は期限前に混雑するため、eLTAXか郵送が勧められている。
  • 申告先は、資産がある市区町村(東京23区は、資産がある区を担当する都税事務所)。本店の所在地ではなく、資産の所在地で決まる。

STEP 6 納付する

  • 課税標準額が150万円以上の場合、市区町村から納税通知書が届く(東京23区は6月上旬)。
  • 年4回に分けて納める(東京23区は原則として6月・9月・12月・翌年2月)。一括で納めることもできる。
  • 課税標準額が150万円未満(免税点未満)の場合は、納税通知書は届かず、納付もない。

計算例

前提:東京23区内に事務所を賃借する会社。令和9年度(令和9年1月1日時点)の申告。取得価額や耐用年数は例として設定したもの。

資産 取得時期 取得価額 耐用年数 計算 令和9年度の評価額
パソコン 5台(特例で全額を経費に) 令和8年6月 1,250,000円 4年 1,250,000 × 0.781 976,250円
複合機 令和7年4月 800,000円 5年 800,000 × 0.815 × 0.631 411,412円
事務所の内装工事 令和6年10月 3,000,000円 15年 3,000,000 × 0.929 × 0.858 × 0.858 2,051,689円
応接セット 1組 令和5年7月 350,000円 8年 350,000 × 0.875 × 0.75 × 0.75 × 0.75 129,198円
評価額の合計 3,568,549円
  • 課税標準額:3,568,549円 → 1,000円未満を切り捨てて 3,568,000円
  • 免税点(150万円)以上なので課税される。
  • 年税額:3,568,000円 × 1.4% = 49,952円 → 100円未満を切り捨てて 49,900円

計算例では、各年度の評価額の1円未満を切り捨てている。なお、10万円未満の事務机や、一括償却資産として処理したプリンターは申告の対象外なので含めていない。

過去の申告漏れに気づいたとき

  • 申告していなかった資産は、気づいた時点で市区町村に申告する。申告漏れは、さかのぼって課税される(原則として最大5年度分)。
  • 正当な理由なく申告しなかった場合は、過料が科されることがある。
  • 過去の年度分の資産の評価額も、取得時期と取得価額から計算できるよう、取得の記録をそろえておく。

チェックリスト

  • ☐ 固定資産台帳と実物を照らし合わせた
  • ☐ 減価償却が終わった資産も、事業に使っていれば申告対象に含めた
  • ☐ 中小企業者等の特例で全額を経費にした資産を拾った
  • ☐ 10万円未満・一括償却資産として処理した資産を除いた
  • ☐ 自動車税・軽自動車税の対象の車両、ソフトウェアを除いた
  • ☐ 賃借した事務所に施工した内装・設備を含めた
  • ☐ 前年中に廃棄・売却した資産を「減少資産」として申告した
  • ☐ 資産がある市区町村ごとに申告書を作った

よくあるつまずき

  • 特例資産の拾い漏れ:全額を経費にしたパソコンなどは固定資産台帳に載らないことが多い。法人税申告書の別表16(7)と突き合わせる。
  • 内装工事の申告漏れ:賃借した事務所の内装は「建物の一部」と思われがちだが、テナントが施工したものは償却資産として申告する。
  • 廃棄した資産をそのままにする:減少資産として申告しないと、使っていない資産にも課税が続く。
  • 申告先の間違い:申告先は本店ではなく資産の所在地。支店や倉庫が別の市区町村にあれば、それぞれに申告する。
  • 「免税点未満だから」と申告しない:免税点は課税の基準で、申告の義務は別である。

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