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年末調整の業務手順

提供: アドミンペディア

このページは、会社の給与担当者が行う年末調整の業務を、準備から翌年1月の書類提出まで時系列でまとめた手順書である。用語や制度の説明は年末調整のページを参照。

※令和8年分(2026年)の年末調整を前提に記載している。税制改正の内容は毎年変わるため、実務では国税庁の最新資料で確認すること。

全体の流れ

ステップ 時期の目安 主な作業 担当
1. 事前準備 10月 対象者の確定、システムの更新、スケジュール作成 給与担当
2. 申告書の配布 10月下旬〜11月上旬 申告書の配布、記入方法の案内 給与担当
3. 回収・チェック 11月〜12月上旬 回収、未提出者への催促、記載内容と証明書の確認 給与担当・従業員
4. 年税額の計算 12月上旬〜中旬 給与・賞与の集計、年調年税額の計算 給与担当
5. 過不足額の精算 12月の給与(賞与)支払日 還付・徴収の反映、源泉徴収簿への記入 給与担当
6. 納付 翌年1月10日(納期の特例は1月20日) 12月分の源泉所得税の納付 経理担当
7. 書類の提出 翌年1月31日まで 源泉徴収票の交付・提出、給与支払報告書の提出、法定調書合計表の提出 給与担当

STEP 1 事前準備

やること

  • 対象者を確定する
    • 年末まで在籍見込みの従業員のうち、給与所得者の扶養控除等申告書を提出している人(甲欄の人)を洗い出す。
    • その年の給与収入が2,000万円を超える見込みの人は対象外とする。
    • 年の途中で入社した人には、前の勤務先の源泉徴収票の提出を依頼する。
  • システムを更新する
    • 給与計算ソフトや年末調整クラウドが、その年の税制改正に対応したバージョンになっているか確認する。
  • スケジュールを決める
    • 12月の給与支払日から逆算して、申告書の回収期限を決める。目安は給与支払日の3〜4週間前。

令和8年分の注意点

  • 令和8年12月1日施行の改正(基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ、扶養親族等の所得要件の変更など)を反映して計算する。
  • 年税額の計算には、改正後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」を使う。
  • 令和8年11月30日以前に最後の給与を支払った退職者などには、改正後の控除が年末調整で反映されない。必要に応じて本人に確定申告を案内する。

STEP 2 申告書の配布と記入案内

配布する申告書

  1. 給与所得者の扶養控除等申告書(翌年分。当年分に変更がある人は当年分も)
  2. 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書(特定親族特別控除申告書を含む)
  3. 給与所得者の保険料控除申告書
  4. 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書(2年目以降の該当者。本人に税務署から届いているものを提出してもらう)

従業員への案内に入れる内容

  • 提出期限と提出方法(紙・クラウドなど)
  • 添付が必要な書類(生命保険料・地震保険料の控除証明書、国民年金・iDeCoの控除証明書、住宅ローンの残高証明書など)
  • 配偶者や扶養親族のその年の所得の見込み額を正しく書くこと
  • 年末調整ではできない控除(医療費控除、ふるさと納税の寄附金控除、住宅ローン控除の初年度など)は、本人が確定申告を行う必要があること

令和8年分の注意点

  • 扶養親族・同一生計配偶者の所得要件が、合計所得58万円以下(給与収入123万円以下)から62万円以下(給与収入136万円以下)に変わる。
  • 改正によって新たに扶養親族などに当てはまる人がいる場合は、扶養控除等申告書の「異動月日及び事由」欄に「令和8年12月1日改正」などと書いて提出してもらう。
  • 23歳未満の扶養親族がいる人は、一般生命保険料控除の上限が4万円から6万円に上がる。

STEP 3 申告書の回収と内容チェック

回収

  • 回収状況を一覧表で管理し、期限の数日前と期限当日に未提出者へ催促する。
  • 期限を過ぎても提出がない人は、年末調整の対象から外して本人に確定申告を案内するかどうか、社内のルールを決めておく。

チェックリスト

扶養控除等申告書

  • ☐ 氏名・住所・マイナンバーの記載漏れがない
  • ☐ 扶養親族の所得の見込み額が所得要件の範囲内である
  • ☐ 年齢区分(16歳未満・特定扶養親族・老人扶養親族など)が正しい
  • ☐ 前年から扶養親族の増減がある場合、内容を本人に確認した

基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書

  • ☐ 本人の合計所得金額の見込み額が書かれている
  • ☐ 配偶者控除・配偶者特別控除の区分と控除額が正しい
  • ☐ 特定親族特別控除(19歳以上23歳未満の親族)の対象者と控除額が正しい
  • ☐ 所得金額調整控除の対象(給与収入850万円超で、特別障害者や23歳未満の扶養親族がいるなど)を確認した

保険料控除申告書

  • ☐ 控除証明書が添付されている(給与天引きの社会保険料を除く)
  • ☐ 申告書の金額と証明書の金額が一致している
  • ☐ 生命保険料の新制度・旧制度の区分が正しい
  • ☐ 控除額の計算が正しい

住宅借入金等特別控除申告書

  • ☐ 年末残高証明書が添付されている
  • ☐ 控除額の計算が正しい

STEP 4 年税額の計算

  1. 給与・賞与を集計する:1月から12月までに支払う給与と賞与の総額、社会保険料、源泉徴収税額を集計する。中途入社者は前職分も合算する。
  2. 給与所得控除後の金額を求める:「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」を使う。
  3. 所得金額調整控除を差し引く(該当者のみ)。
  4. 所得控除を差し引く:基礎控除、配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除、生命保険料控除などの合計を差し引き、課税給与所得金額を求める(1,000円未満切り捨て)。
  5. 算出所得税額を求める:所得税の税率を掛ける。
  6. 税額控除を差し引く:住宅借入金等特別控除額を差し引く。
  7. 年調年税額を求める:復興特別所得税を加えるため102.1%を掛ける(100円未満切り捨て)。
  8. 過不足額を求める:年調年税額と、その年に源泉徴収した税額の合計を比べる。

計算結果は源泉徴収簿(または給与計算ソフトの年末調整画面)に記録する。

STEP 5 過不足額の精算

結果 対応
源泉徴収した税額が多かった(過納) 差額を12月の給与または賞与に上乗せして従業員に還付する。
源泉徴収した税額が少なかった(不足) 差額を12月の給与または賞与から追加で徴収する。
  • 還付の原資は、12月分として納める源泉所得税から差し引いて充てる。それでも足りない場合は、翌月以降に納める源泉所得税から順に差し引く。2か月を過ぎても還付しきれない見込みのときは、税務署に還付請求書を提出する。
  • 不足額を差し引くと12月の手取りが大きく減る場合(差し引き後の手取りが、1月から前月までの平均月額の70%未満になる場合)は、税務署長の承認を受けて、不足額の徴収を翌年1月と2月に繰り延べることができる。申請書(年末調整による不足額徴収繰延承認申請書)は、その年最後の給与を支払う日の前日までに提出する。
  • 給与明細に「年末調整還付」「年末調整徴収」などの項目を設け、従業員にわかるように示す。

年末調整の後に誤りや変更が見つかった場合

  • 扶養親族の異動などで年末調整をやり直す場合は、翌年1月31日(源泉徴収票を交付する期限)までであれば、会社で再年末調整ができる。
  • 1月31日を過ぎた場合、還付になるケースは本人に確定申告(または更正の請求)を案内する。ただし、税額が不足するケースは、1月31日を過ぎても会社で年末調整をやり直す必要がある。

STEP 6 源泉所得税の納付

  • 12月分の源泉所得税(年末調整の過不足を反映した後の額)を、翌年1月10日までに納める。
  • 納期の特例の承認を受けている会社は、7月〜12月分をまとめて翌年1月20日までに納める。
  • 還付額が多く納付額がゼロ以下になった場合も、納付書(所得税徴収高計算書)は提出する。

STEP 7 法定調書等の作成・提出

書類 提出先 期限 備考
源泉徴収票 従業員本人 翌年1月31日 全員に交付する。年の途中の退職者には、退職後1か月以内に交付する。
源泉徴収票 所轄の税務署 翌年1月31日 一定額を超える人の分のみ提出(年末調整をした人は給与収入500万円超、役員は150万円超など)。
給与支払報告書 従業員の1月1日時点の住所地の市区町村 翌年1月31日 総括表と個人別明細書を提出する。eLTAXで電子提出できる。
法定調書合計表 所轄の税務署 翌年1月31日 報酬・不動産の使用料などの支払調書とあわせて提出する。
  • 前々年に提出した法定調書の枚数が、種類ごとに30枚以上の場合は、e-Tax、光ディスク等または認定クラウド等による提出が義務になる(令和9年1月以後に提出するものから。令和8年中に提出するものは100枚以上)。
  • 年末調整で受け取った申告書と控除証明書は、提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間保存する。

よくあるつまずき

  • 申告書が集まらない:回収期限を12月の給与支払日の3〜4週間前に設定し、クラウドで回収すると遅れにくい。
  • 配偶者や扶養親族の収入が見込みと違った:年明けに判明した場合は、1月31日までなら再年末調整で対応できる。
  • 中途入社者の前職の源泉徴収票がない:前職分を合算できないため、その人は年末調整の対象から外し、本人に確定申告を案内する。
  • 控除証明書の紛失:保険会社に再発行を依頼してもらう。間に合わない場合は、確定申告で控除を受けるよう案内する。

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